【電】タイム・リープ―あしたはきのう(上・下) ~ラノベだから出来る工夫の産物~
タイム・リープ―あしたはきのう (上) (電撃文庫 (0146))
- 作者: 高畑京一郎,衣谷遊
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 1999/05
- メディア: 文庫
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すべてが緻密に計算されたストーリー設計。辻褄や伏線が物語の最後に向かうにつれてどんどん怒涛のごとく回収されていく手腕が見事すぎます。上下巻をあっという間に読み終えてしまい、そのままメモ帳片手に2週目突入。図を描きつつ3週目へ。いくら読んでも面白い。活字の芸術とはこういうものなのか、と驚くほど完成度の高い小説だと私は思っています。いや~、お見事。今まで数多くのラノベや小説を読んできましたが、ここまで素晴らしい小説にはまだ出会えていません。最高峰のラノベです。
ページを開くとわけの分からない文章から始まります。それが、読み終わるころには「なるほど!!」と納得できるんです。すべての場面において「あれっ」「あ~、なるほどぉ」の連続。息を抜く暇もないほど没頭してしまうほど貪るように読んでしまえます。アニメや実写ではここまで感動できないでしょう。活字だからこそここまで楽しめるのだと思っています。
物語はたった1週間程度の短い期間の中で主人公翔香の中で起こる不思議な現象を、クラスメートで頼れるパートナーの若松と共に解決していくというもの。翔香が朝起きると月曜日だと思っていたのがなぜか火曜日で不思議に思いながら学校へ行くと、ふとした瞬間に今度は月曜日になってる。。。という、意識だけがタイプワープしているような現象の中、裏で実は事件が蠢いている、といったストーリーです。翔香は今どの日に居るのかを表でまとめつつ読むといっそう面白さが増しますね。とまぁ難しそうな印象を感じてしまう方もいるかと思いますが、こんなに複雑な内容なのにそんな複雑さを全く感じさせません。そんな文章力をぜひ味わってみてください。
本当にすべての文章に無駄がなく、何か疑問に感じる場面があればそれは後々で必ず解消できる爽快さがたまりません。あえてこのレビューで内容を書かないのは、ネタバレが激しく怖いからですね。本気でオススメしたい作品です。
別に翔香に激しく萌えることもなく、若松が凄くイケメンというわけでも無いラノベの教科書から逆行しているようなキャラクター設定ですが、読めば読むほど親近感を感じるようになります。萌えとか戦いとかそういう話とは無縁の小説ですが、読み終わった後に震えるほどの感動があります。ぜひぜひ読んでみてください!
- 作者: 高畑京一郎,衣谷遊
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2013/03/29
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