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これまで読んできたラノベやマンガの感想を書きまくります。。。過去の消えてしまったような作品に再度光を当てたい・・・

【ガ】やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。2 〜リア充と非リア充との対比が面白さを倍増させる〜

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。2 (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。2 (ガガガ文庫)

「さて、殴る前に一応、私の授業に遅れた理由を聞いてやろう」

「いや、違うんですよ。ちょっと待ってください。『重役出勤』って言葉があるじゃないですか。つまりエリート志向の強い俺は今から重役になった時のために予行演習をですね」

「君は専業主夫希望だろうが」


この作品は私にしては珍しく頻繁に何度も読み返してしまうんですよ。好みの文章なのかキャラクターに惚れたのかわかりませんが、とにかく魅力があるって感じてます。おそらく、単純にヒロインがデレたりせずずっと当初の性格を貫き通していたり、主人公も仲間と交流することで多少丸くなってきてるけど「ぼっち」というスタンスや過去の経験から学んだ処世術をこれまた貫いているところにリアリティと親近感を覚えるのでしょう。


そんな作品の第2巻は、これといって物語が進展することもなく、キャラクター同士の距離感もあまり変わらず・・・というところ。ただ、八幡の妹小町が出てきてストーリーが明るく華やいだものになったり、戸塚っていうテニス部の美少女・・・ではなく美少年が八幡にいじらしく絡んで来るシーンに萌えたり、、、と思いきや新キャラの川崎沙希という八幡とはベクトルの少し違う「ぼっち」が奉仕部と妙な出会い方をしたりと多少広がる物語展開を見せます。


この2巻では、小町の同級生で川崎沙希の弟である大志君がいい味を出していました。なんとなく小町に気があるようなそぶりを見せたりお姉さんが深夜外出していて心配と健気な雰囲気を出しつつ、八幡のことを「お兄さん」と読んでみたりなんかしてます。当然超シスコンの八幡は「お兄さんって呼ぶな、殺すぞ」と異常な敵対心を燃やす始末。でもこの掛け合いが面白いんです。


その中で、川崎沙希の深夜外出先を特定すべく奉仕部が動き出します。たまたま弟の大志が家にかかってきた電話に出たら「エンジェル」という名前のお店から姉の沙希宛ての電話であり、名前からして怪しいお店じゃないか? と考えた奉仕部員達はそのエンジェルってお店を様々な方法で探します。そしてとうとう見つけた八幡たちはそのお店に乗り込む際にドレスコードに合わせた服装にドレスアップし大人な雰囲気で入店することに。その中で出会う八幡たちと沙希。ジンジャエールを飲みつつ話を聞く中で、沙希が抱えている悩みや問題が露呈してくるわけですね。ここでぼっちの八幡が思い切った解決案を提示します。。。


また小説前半は、クラスメートのイケメンリア充葉山がよくつるんでいるグループメンバーのことで相談をしに奉仕部へやってきます。リア充の葉山は当然クラスのこと、人間関係のことがしっかりと見えていてもっとみんなと仲良くできないか? というスタンスで奉仕部に依頼をしてくるが、依頼を受ける側の主人公八幡はそんなリア充が見えない部分、隠れた部分を見ることができる「ぼっち」なわけで。だから、リア充が考え付かないようなぼっち的解決案を提示します。なるほど、と思いつつも何か物悲しい、しかしなんとなくわかってしまうそんな内容です。これもまた見どころなのかもしれません。


読めば読むほど古傷を抉られるような感覚さえ持ってしまうこのライトノベル。内容はライトではなくヘビーな部分もありますが、それでもまた読みたいと思えてしまうこの文章力はさすが。キャラクターも増えてきて面白くなる土台は固まってきたように思います。次は3巻。どんな悲しい展開を見せるのか楽しみです。


レーベル:ガガガ文庫
シリーズ:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。