【電】扉の外 第1巻 ~極限状態の人間って・・・~
多分この作者の作風、大好きです。追い詰められた人、密室の中に閉じ込められた人、、、そんな人達が頭を使いじわじわとお互いを追い詰めていく話ってなんか好きなんですよね。全くライトでない設定だけど非常に読みやすくあっという間に最終ページまで読みきってしまえる内容です。
本当にページをめくりながら、まだ終わらないでと読みきるのが惜しくなるようなそんな作品でした。衝撃的な出だし。読者にも全く状況がつかめない。突然日常から切り離され隔離された空間での生活。そして、明確なそれでいて意味不明な生活のためのルールがストーリー深みをもたらしていると思いました。
人間関係描写も面白いですね。密室の中で軟禁された状態の男女。協調するか、独断専行か。密室の中で疑心暗鬼と優柔不断な雰囲気にみんな襲われています。そんな中、物語は後者の独断専行型人間の主観で進んでいきます。
主人公は感情移入できそうでできないアクの強い性格。でも、その主人公の周りに集う4名の女性の存在と人間模様が・・・と、このあたりは実際に読んでいただくのが一番ですね。本当に魅力的だけど、明確に性格の違う4人の女性との絡みが面白い。弱みとか、強がりとか、クラスメイトとの人間関係とか、読んでいて気持ち良いですよ。
ただ、難点を挙げるとすれば、ラストのオチが弱い、そもそもの導入部分のからくりの説明がないってコトでしょうか。そんな数々の伏線が次巻以降説明されるのかどうかが楽しみデスね。合う合わないはありますが、とても面白いですよ。ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。
レーベル:電撃文庫
シリーズ:扉の外