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これまで読んできたラノベやマンガの感想を書きまくります。。。過去の消えてしまったような作品に再度光を当てたい・・・

【講】アウトブレイク・カンパニー6 〜現代の日本社会に起きている問題を見つめさせられる作品〜


6巻、物語が少し動きます。1巻から4巻までは萌える内容が多かったけど5巻に来ていきなり頭から最後まで危機的状況に陥る慎一のシリアスな展開が繰り広げられます。そして6巻。ここでの大きな出来事は、日本からもう一人オタクの伝道師がやってくるというお話です。


日本からやってきたのはゴスロリ服の似合う美少女ヒカル。月夜の晩に慎一と接触するんですが、とにかく雰囲気のある美人であるヒカルに思わず心奪われそうになりますが、この見た目麗しいヒカルには実は大きな秘密が隠されているんです。これはぜひ一度読んで驚いてみてください。


そしてヒカルは慎一よりも遥かに早いスピードでオタク文化をエルダントに広めていきます。それはもう、慎一が「この世界には自分は必要ないんじゃ・・・」とミュセルに落ち込む姿を見せるほどの急激なスピードであり、エルダント国民もあたかも中毒者のように自分を見失うまで没頭し始めます。ある意味日本が企んでいた以前の裏目的である「文化侵略」が実現しているような状況に陥ります。


しかしヒカルはのほほんと悪いことはしていない、好きなものは好きでいいじゃん、というノリでオタク文化をより広めようとします。あたかも、現代の日本社会に起きている問題を見つめさせられるようなそんな内容かもしれません。トレーディングカードを流通させるという方法は一見当たり前の商売ですが、レアカードや希少性を演出する売買取引はつい最近問題になったコンプガチャを彷彿とさせます。


そうこうしているうちに慎一たちもこの状況を問題視し打開する手段を講じ始め、ヒカルはヒカルで自分が日本から持ち込んだオタク文化がエルダント内で大きな波紋を及ぼしていることを目の当たりにします。はたしてエルダント国民は正気を取り戻せるのか? 慎一たちが動いたその方法とは何か? 6巻も相変わらず面白くリアルな社会を垣間見ることができるハイクオリティな作品になっています。


いやー、この作品面白いですね。アニメはそんなに見てませんが文章の持つ勢いと迫力と萌えってやつを強く感じさせられます。今期のアニメの原作の中ではトップを争うほどの良作です。ぜひぜひご覧あれ!


レーベル:講談社ラノベ文庫
シリーズ:アウトブレイク・カンパニー