ラノベ感想.com

これまで読んできたラノベやマンガの感想を書きまくります。。。過去の消えてしまったような作品に再度光を当てたい・・・

【ガ】やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。4 〜ラノベ特有のお約束展開皆無だけど面白い!〜

平塚「そんな方法を思いつく時点で最低だよ。だが、最低にいるからこそ、どん底に落ちた人間に寄り添えるのかもしれない。そういう資質は貴重だ」


八幡「嫌な褒められ方だ・・・」


今年読んだラノベの中でダントツトップの面白さだと確信しているこの作品。今回は4巻のレビューです。1巻から3巻の中にはほとんどラブコメ的展開が発生せず、ほんの数ページにだけラブってるシーンが出てくる硬派なリアル高校生を描く作品と言ってもいいのかなって思います。美少女とイチャイチャしたり巨大な敵を仲間と共に倒す、というラノベ特有の展開が全く出てこないけどとにかく面白い稀有な作品。4巻も全巻と同様に一人ぼっちの主人公八幡が持つ穿った思考で悲しい問題解決をするわけですが。。。


そんな4巻での大きなイベントは「林間学校」。美人アラサー教師の平塚先生にメールや電話で呼び出されるも無視する八幡。しかし、妹の小町が兄の八幡を無理やり街へ付き合うよう家から引っ張り出し駅まで連れて行ったらそこには平塚先生が待っているわけです。そんな罠にまんまと引っかかった八幡、そして平塚先生から奉仕部の活動として呼び出された雪乃と由比、校内の掲示板で募集し集まってきたリア充の葉山、三浦といった面々が林間学校のキャンプ場に集います。


そこで行われるのは小学生のキャンプのお手伝いというボランティア。料理を手伝ったりアウトドアを引率したりと色々役回りをこなす中で1人小学生の中にポツンとはぐれている少女の留美を見つけてしまいます。由比や八幡、雪乃たちがいろいろ話しかけると、どうやらとある事件がきっかけで同級生の中に上手く混ざることができず1人ハブられているということが分かってくるんですね。


やはりこんな場面でも八幡や雪乃はぼっちのプロ。留美は中学生になったら環境が変わるからこの状況から抜け出せると思っているけど、八幡たちはそんなはかない希望を経験と事実を持って否定します。中学生になっても何も変わらない。そんな現実を突きつけてしまうんですね。


葉山や三浦、由比たちはどうにかして力になってあげたい、みんなと仲良くできる方法を模索したいと提案するのですが、雪乃は「そんなことは不可能よ」と真っ向から否定します。そんな態度にカチンときた三浦は雪乃と口論してしまい、夜に雪乃は三浦を泣かせるまでやり込めてしまって少しショックを受けてしまいます。そんな雪乃と夜に外で鉢合わせてしまう八幡。ここで八幡はぼっちとして、これまでの経験を総動員したある解決方法をみんなに提案することに。


その解決方法を実行する方向で話がまとまり、林間学校によくある肝試しイベントの中でついに実行するわけですが、このお話はぜひ小説を読んでみて感じてください。正攻法では無く必ずしも褒められるものでも無い非常な手段。しかし、それを実行することで留美たちのグループに大きな衝撃を与えることができる最悪な方法。結果的に成功したかどうかは語られてはいませんが、何らかのきっかけを作ることができたのかなと読み取ることができました。


また、林間学校が終わり地元に到着した八幡たちの前に雪乃の姉である陽乃が現れて雪乃に対してあることを告げます。それが今後の物語に大きな影響を及ぼすのですが、そこで4巻が終わるんですね。もどかしい。


ラノベで林間学校というキーワードが出てくれば、基本肝試しで女の子とイチャイチャする主人公が出てきたり、バーベキューやカレー作りで激マズの料理を可愛い子が作ってしまい主人公たちは無理して食べるっていうイベントが発生したり、夜になぜか女の子と一緒の布団で寝るっていうシーンがあったり、露天風呂をのぞいたり・・・というラノベ特有のお約束展開は一切ありません。あるのは人間関係の深い、それはもう深いお話だけでした。


こういうラノベがあってもいい、という印象で読み始めたこの作品。でも今や新しいジャンルをも作ってしまったのかと思えるほどの大きな衝撃を与えてくれる素晴らしいライトノベルだと私は感じています。次は5巻。どんな悲しい物語が待っているか本気で楽しみです!


レーベル:ガガガ文庫
シリーズ:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている