ラノベ感想.com

これまで読んできたラノベやマンガの感想を書きまくります。。。過去の消えてしまったような作品に再度光を当てたい・・・

【ガ】下ネタという概念が存在しない退屈な世界1 ~序盤で8割の読者を失う作品~

下ネタという概念が存在しない退屈な世界 (ガガガ文庫)

下ネタという概念が存在しない退屈な世界 (ガガガ文庫)


まさかアニメ化するとは・・・と驚きしか出ないラノベです。いやー、よくこんなラノベが発売できたよなぁ、とただただ脱帽。下品さしか感じない迷作とはこのことだと自信を持って提供できる作品です。


まず序盤で読者の8割を失うだろう展開が素晴らしい。いきなり女性が顔にパンツをかぶって(変態仮面風に)局部の名称を叫ぶなんてこれまで読んできたどんな小説よりもインパクトがでかい。さらに、羽織ったマントの下は全裸。。。萌など皆無、ここまでやられるともう何も言い返せません。


中盤から後半もその勢いは弱まることなく、むしろ増強しつづけます。全校生徒集会をジャックして舞台上の巨大スクリーンにハエの後尾を映し出しアフレコで喘ぎ声を感情込めて体育館全体に流したり、レジスタンス活動だ!とか言いつつエロ本をばらまいたりと、とにかく勢いだけで書いてるんじゃないかと思える展開がどんどん続きます。


ただ、バカバカしいと思っていましたが全体像を見てみると、要は巨大で理不尽な権力に対し世の中を本来あるべき姿へ戻そうという強力なアンチテーゼを発信しているのかなとも思えます。権力側が下ネタ、エロを徹底的に排除し、そんなものに手を出そうとする国民を激しく弾圧する姿は、現代のオタク文化や青少年保護育成条例表現の自由を曲解しクリエイター達の活動の場を消し去ろうとする像を彷彿とさせます。


だから、ある種あまりにもバカバカしく描きすぎている理由は、世の中に対する警告を放っているのかな、とも思えるわけです。うーん、深い作品だ・・・


と妄想はこれまでにして、なんで小説化、アニメ化したのか意味不明な作品ですが、個人的には少し応援してもいいかなぁと感じる作品です。1巻の序盤さえ通り越せばまだ楽しめるはずなので、ぜひぜひ挑戦あれ!