ラノベ感想.com

これまで読んできたラノベやマンガの感想を書きまくります。。。過去の消えてしまったような作品に再度光を当てたい・・・

【ガ】やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。5 〜平塚先生の可愛さが際立つ短編集〜

八幡「先生と小町じゃ姉妹っていう年の差じゃ、下手すりゃ親子げらげらげら・・・・・・」


平塚「比企谷・・・その手のギャグは、今ちょっとキツイ・・・・・・」


八幡「ご、ごめんなさいっ!」


8巻の感想を勢いで書いた後は5巻の感想に戻ります。5巻もオススメ、ラノベっぽくない現実の高校生活を垣間見ることができます。キレイ事が嫌い、現実主義であるって人は楽しく読めると思います。


1巻から4巻までは、主人公である八幡と雪乃が奉仕部へ持ち込まれる悩みや問題を解決していく、というのが大まかなストーリーでした。そして、物語が進むにつれて由比や戸塚、材木座、葉山、川崎と変な連帯感を持った仲間?が増えていきます。そんな仲間の声を半ば無視し、友達のいない八幡が奉仕部に持ち込まれた問題を独自の残念な解決策で打開していくんですね。この残念な主人公と取り巻き、一般的な高校生が考え付かないような解決策を読むのが楽しかったりしています。


ここから本題、5巻です。この5巻は4巻までと違いいくつかのショートストーリーで構成されており、それぞれの章につき1人から2人のキャラクターと八幡が絡みます。妹の小町の宿題を見てあげたり、川崎沙希の弟である大志の悩みをサイゼリヤで聞いてあげたりといつの間にか休日に共に過ごす仲間ができいるんですが、やはり八幡の思考(志向)は「ぼっち」。どんなに仲良く接されても何か裏があるのではないかと相手の裏の感情まで自然に読み取ろうとしてしまう習慣をもっているわけです。そんな心の動きがよくわかるお話が5巻にはたくさんあるってのが読んでみた率直な感想ですかね。


ここで特筆すべき章はやっぱり奉仕部顧問の「平塚先生」と、なぜか一緒に花火大会へ行くことになった「結衣」とのちょっとしたお話です。


平塚先生とのお話は、八幡がラーメン屋に行こうと出歩いていたらドレス姿の美人と出会うところから始まります。その美人は当然平塚先生。結婚式に行ったら親族から「早く結婚しろ圧力」を幾重にも与えられ、たまたま見つけた八幡を拉致しラーメン屋へドレス姿で行くんです。艶やかのドレス姿の美女がとんこつラーメンを「こなおとし」で食べる姿、リアルでも一度くらいは見てみたいですね。


ただ、見どころはラーメン屋での食事風景ではなく平塚先生に拉致られラーメン屋まで行きラーメンを食べる中での会話です。八幡は八幡でぼっちとしての性格を押し出す内容、そして他人を受け入れなくてもかまわない、一人でも十分に生きていけるという主張をしていくのに対し、平塚先生はそんな八幡の主張をやんわりと受けとめ、そして優しくより良い生き方が将来はできるんじゃないかと諭していく母性。口調こそぶっきらぼうで刺々しいものかもしれないけど、その発言の元にあるのは大人としての優しさがあふれているような感覚を得ました。大好きですね、こういうキャラ。


そして結衣との花火大会。結衣の愛犬の世話をしてくれたお礼ということで八幡と小町に花火大会へ一緒に行こうと勇気を出して誘うんですが、八幡はそういう空気や雰囲気には決して流されない男。結衣と二人っきりで行くという選択肢をはなから否定した姿勢でいるのですが、小町は受験勉強があるからどうしても行けないと断ってしまいます。ま、これは兄と結衣が2人になれるようにしようとする姦計なわけですが、そんな目論見が上手く働き八幡と結衣は2人で花火大会に行くことになります。


当然由比は浴衣姿。電車に一緒に乗り花火大会の会場まで行く2人は外から見ればカップルそのもの。しかしそんなラブコメが展開されるわけがありません。会場でいろいろと動き回っていると雪乃の姉の陽乃がなぜか居て結衣共々会話することになります。4巻の終わりで林間学校から帰ってきた雪乃を車で連れて行った陽乃。そしてそれ以降全く雪乃と会えなかった八幡たち。この変な雰囲気のまま陽乃に関係者席へ連れて行かれます。


陽乃は雪乃と八幡をくっつけたがっているのか、結衣のことをあまり良く思っていないかのような接し方をするんです。しかし、徐々に大人の対応で仲良く接し始めるんですね。でも、雪乃ちゃんを悲しませるな的な、浮気は許さん的な攻撃をちょくちょく繰り出しつつ、雪乃の家庭環境や置かれている立場を少しずつ説明してくれます。街の名手だからこそ引き受けなければならない責務。そして立場。親の指示。。。一般的な家庭とは大きく異なった環境で生活する雪乃のことを案じつつも何もできないもどかしさを感じました。


陽乃と別れた花火大会の帰り際、結衣が八幡に対し思い切った行動を取ります。しかし八幡はぼっちのプロ。華麗にスルーしつつもこれまでと変わらない関係を維持する術をいかんなく発揮していました。


そして新学期が始まり5巻も終わろうとする最後の章にて約1か月ぶりに雪乃が八幡の前に現れます。ここで交わされるほんの少しの会話。そのほのかな悲しさが二人の関係を強く表しているのかなと思います。ぜひ読んでみてこのもの悲しさを感じてみてください。


様々な短編が集まった5巻。物語は進展しませんが各キャラクターの心情を上手く感じることができたと思います。次は6巻。テーマは学園祭です。ラノベだったら必ずあるイベントであり、男女の仲がぐっと縮まる描きやすいイベントでもあります。しかし登場人物は八幡や雪乃。そんなありきたりな展開になるはずもありません。というわけで、6巻を再度読み直してみたいと思います。。。


レーベル:ガガガ文庫
シリーズ:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。