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これまで読んできたラノベやマンガの感想を書きまくります。。。過去の消えてしまったような作品に再度光を当てたい・・・

【講B】化物語(上)〜活字だからこそできる言葉の面白さを追求した作品〜

化物語(上) (講談社BOX)

化物語(上) (講談社BOX)


実は初版が発売した時期に購入し読みました。2006年の11月ごろだったかな。購入した際のレシートが挟まっているので間違いないでしょう。「戯言シリーズ」のファンだったのでこれまでも西尾維新作品を読んではいたのですが、そんな彼の傾向の違う新しい作品が出たのを知り、少々高かったけど何となく購入したのが始まりでした。


ライトな小説なのにも関わらず本の装飾がしっかりしており、銀色の厚紙で作ったカバーから真っ赤な本を取り出し読まなければいけないので立ち読みが出来ません。それに当時(2006年頃)はスマートフォンもなく本の感想やレビューを知りたければインターネットに繋がったPCでAmazon等のサイトを開かないと読めなかったんですね。私の技術力はこんなもんでした。だから購入した理由は「作者買い」です。


ただ、今のこのシリーズの勢いを見てると、当時はここまでヒットするなんて思いもしなかったですね。当時仕事帰りに天王寺MIOっていう百貨店の9階?にある旭屋書店で目立つ位置に陳列されていたこともあってたまたま購入し、一人面白さに悶えうっていたことを今でも思い出せます。そして、個人的には自分の好きな隠れた名作的な感じであまり有名になって欲しくなかったというのもファン心理的にあります。


そんな「物語シリーズ」一作目「化物語(上)」。上巻は3話で構成されており、それぞれ1人の登場人物を深く掘り下げていくというノベルです。戯言シリーズはたくさんの登場人物が主人公の周りに集まり様々な協力や口出しを通じて物語りがスタートしていくのですが、この物語シリーズ少ない登場人物を深く弄り使い倒していく正反対の構成が特徴です。


上巻は3話構成で、第1話に出てくるのがヒロインの戦場ヶ原ひたぎ。ツンツンしている美人であり、主人公の阿良々木暦(あららぎ こよみ)は初対面の時に口の中にホッチキスを入れられほっぺたを差し込まれるほど他人との交流を忌諱しているキャラクター。しかし、その後ひたぎの体のとある秘密を目の当たりにしてしまい、そんな秘密を暦の知り合いを通じてなんとか解決していく、というのが大まかなストーリーです。


こういったストーリーも面白いのですが、最も面白い部分は文章。言葉の言い回しや書き方がとにかく秀逸すぎます。活字に遊びをかなり持たせていて、それが時にはシュールに感じ、時には爆笑を誘う知的な面白さを感じます。わざと字を反転させて動揺しているような演出をしたり、笑い所を次のページに回し.ページをめくったら思いも寄らなかったネタの登場におなかを抱えて笑ったり。。。活字エンターテインメントの可能性を強く感じた作品です。


ただ、第1話の戦場ヶ原ひたぎ編はシリアス部分が多くコメディタッチも少ないのですが、第2話の八九寺真宵編は第1話以上に言葉遊びがふんだんにあり、初めて読む人は電車の中なんかでは絶対に読まないようにしないと危険なくらい笑いが止まりません。


ここであまり詳しく内容を書くよりも、ぜひ活字の面白さを思う存分感じていただきたいと思ってますので、少々高いし電子書籍化もしていない本ですが手にとってみて楽しんでみてください。次は下巻。感想書くためにもう一度読み直してみます!


レーベル:講談社BOX
シリーズ:物語シリーズ